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わたしにできること7新刊情報
  ご無沙汰しております。10月23日に行われる「わたしにできること7」に当選致しました! 当日のスペース、新刊情報は下記のようになります。

スペース:ス03

新刊

旭日の魔女・上〜皇都防空戦〜


ジャンル:ストライクウィッチーズ

発行日:平成22年10月23日

表紙:つんさん

仕様:B6・ 100P(オフセット)

頒布価格:700 円

本文サンプル

序章・マゼラーナ陥落

第一章・世界最高権威のウィッチ

第二章・やんごとなきウィッチ


 また、以下の既刊を持ち込みます。

竹馬の戦友 B6・68P(オフセット) 500円

秘史叢書〜トラ・トラ・トラ〜 B6・76P(オフセット)・18禁 600 円

秘史叢書〜BLITZKRIEG B6・116P(オフセット)・18禁 700 円

君と歩む雪の道〜ルーキーズ〜 A5・ 112P(オンデマンド)・18禁 600 円

君と歩む雪の道外伝〜春秋百花〜 A5・68P(オンデマンド) 400円

偶像再誕 A5・100P(オンデマンド) 600円

大落し編 B6・76P(オフセット) 600円

ミ リアムの愛がアップ! A5・48P(オンデマンド)・R−15 300円
author:衛地朱丸, category:イベント情報, 20:18
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旭日の魔女・上〜皇都防空戦〜 第二章・やんごとなきウィッチ
JUGEMテーマ:漫画/アニメ
「よし! まずはグラウンド十周! 終わった後十分間の休憩を挟み、ストレッチ運動だ!!」
 十一月十日十時三十八分。秋風が肌に冷たく吹き付け、否応なく冬の訪れを感じさせる時節。その寒さを熱気で吹き飛ばすようなかけ声が、ここ横須賀に位置するウィッチの養成学校に響き渡る。
 グラウンドの中央。息を切らせながら校庭をグルグルと走り続ける見習いウィッチたちに、竹刀を地面に突き付けながら鋭い視線を向ける女性。
 後ろで束ねた長く美しい黒髪を持ち、右目に付けられた眼帯が特徴的な彼女の名は、坂本美緒。
第501統合戦闘航空団解散後、ウィッチとしての寿命を迎えようとしていた彼女は、養成学校の臨時教官の任に就いていた。
 501でも芳佳やリネットなどの新人ウィッチを厳しく鍛え上げていた坂本。内地へ帰還してからもその姿勢は変わることなく、幼き雛鳥たちへと向けられていた。
「ふふっ。相変わらず厳しいわね、美緒は」
 ジョギングが終わり僅かな休憩時間に入った矢先。強い口調の坂本とは対照的な優しい声が、坂本の耳に囁かれる。
「醇子か。お前の方も休憩時間か?」
 醇子という女性に声をかけられた瞬間、坂本の顔が僅かばかりだが和らぐ。それは坂本が心から彼女を慕っている何よりの証である。
 菩薩のように優しい顔立ちと、まるで貴婦人のような立ち振る舞いの女性。
坂本がそれほどまでに信頼を寄せる彼女の名は、竹井醇子。嘗て坂本がリバウに派遣された際の上官であり、共に戦った無二の戦友でもある。
「ええ。訓練飛行を終えて降りて来たところよ。少し羽を伸ばそうと思ったら、グラウンドで美緒の姿を見かけたから」
 竹井は落ち着いた足取りで坂本に近付き、坂本の隣に体育座りする。
「新米の訓練か。どうだ? 見込みのある奴はいるか?」
 坂本も醇子に会わせるように体育座りし、受け持っている生徒たちの技量を訊ねる。
「そうね。一人桁外れに魔力が高い子がいるわ。まだ十歳なのだけれど、物腰が落ち着いていて、人一倍熱心な子。戦場に飛び立つことがあれば、きっとみんなの信頼を自然と寄せられる素晴らしいウィッチになると思うわ」
「ほう? 醇子にそこまで言わせるとは。是非とも私も鍛えてみたいものだな! はっはっは!!」
 多くのウィッチを育成した醇子が太鼓判を推すほどだ。恐らく十年に一人の逸材とかそんな少女なのだろう。
それほどまでのウィッチならば、さぞや鍛え甲斐があるだろう。そう坂本は豪快な笑い声を発しながら、一種の楽しさを覚えた。
「うーん。美緒にはちょっと扱い辛い子だと思うわ」
 だが、竹井は坂本とは相性が悪いと言わんばかりに苦笑する。
「何だ? お前の言い分だと性格が悪い娘さんではないようだが」
「性格はすごく良い子なのよ。問題なのは性格云々じゃなく、もっと根本的なことと言うか……」
「?」
 熱心で性格も良いならば、自分にとってはこの上なく鍛えやすい少女なはず。自分の人となりを誰よりも理解している醇子なら、そんなことは言わなくても分かるはずだ。
 そう坂本は、やたらと言葉を濁す竹井に違和感を抱くのだった。


 「竹井さ〜〜ん!」
 そんな時だった。遠くから竹井の名を親しげに呼ぶ、可愛らしい声が響いた。
「あら。噂をすれば何とやらね」
「ほう? となると、あいつが件の娘か」
 たったったと足音を立てながら、二人の元に近付いてくる少女。身長は百三十センチ程度。おかっぱ頭で、幼いながらも清楚な雰囲気を醸し出している少女だった。
「竹井さん、どうでしたか? 先程の妾の飛び様は?」
 少女は竹井に近付くと、息を切らしながら目をキラキラに輝かせ、竹井の評価を待った。
「そうね。まだ魔力のコントロールが上手くできていないようだけど、基本的な飛び方は大分上達したわ。あと二十時間も飛べば、ウィッチとして戦えるほどの技量を身に付けられるはずよ」
 竹井はニッコリと微笑みながら、訓練を終えたばかりの少女を優しく褒め称えた。
「竹井さんにそう言って頂けるのは、光栄の極みです。今後もどうか、指導の方をよろしくお願いします」
 少女は疲れ切った顔で満面の笑みを浮かべ、竹井に何度も何度も感謝のお辞儀をした。
「はっはっは! なかなか礼儀正しい子じゃないか。醇子が目を付けるだけのことはあるな」
「あのぉ、貴女はどなたでしょうか?」
「私は扶桑皇国海軍遣欧艦隊第二四航空戦隊二八八航空隊所属、坂本美緒少佐だ。醇子の同僚と言うか、戦友という感じだな」
 キョトンとした顔で初対面の自分を見つめる少女に、坂本は自ら名を名乗った。
「まあ!? 貴女がかの高名な坂本美緒さんなのですね! 妾は扶桑皇国陸軍近衛第一師団近衛航空歩兵第一連隊所属、彰子(あきこ)少尉と言います。こうして邂逅することが叶ったのも何かの縁。以後どうか親密に」
 少女は年端に合わぬ格調高い口調で、坂本に挨拶を返した。
「ん? 苗字は何と言うんだ?」
 名前だけしか語らない彰子に疑問を持った坂本は、何故姓を名乗らないのか訊ねた。
「えっと、それは……妾には苗字なるものがないので……」
 苗字のことを訊かれると、彰子は言葉を濁してしまう。
「苗字がない? それは妙だな? 我が国は議会制に政治体制を移行してからは、身分に関係なく平等に姓を与えられているはずだが?」
 織田幕府時代は高貴な身分の者しか姓を授かれなかったが、四民平等な現代において苗字がない者などいないはず。
 それだけではなく、若干十歳にして選りすぐられた者だけで構成された近衛師団の少尉というのもおかしな話だと、坂本は首を傾げる。
(いや待て! 苗字は授けられるものだ。つまり、授ける側なら……!)
 坂本は彰子の言葉の意味を理解すると共に、今自分はとんでもないお方と話しているのではないかと、身が引き締まった。
「失礼を承知でお訊ねしますが、もしやあなたは東宮さまであらせられるのでは?」
 急に敬語口調になり、坂本は彰子の身分を訊ねた。
「ええ。坂本さんの思っているとおりです。妾は月宮(つきのみや)彰子です」
 坂本の質問に対し、彰子は慎ましやかな声で、自らの身分を明かした。
(成程。道理で醇子が扱い辛いと言う訳だ)
 相手が皇族ならば、下手に厳しくは扱えない。自分のようなスパルタ教育を最上とする人間には教育し辛い相手だと、坂本は納得するのだった。
「しかし畏れながら、東宮さまは本来軍の所属となるだけで、訓練を受ける必要はないのでは?」
 東宮は満十歳に達した時、陸海軍の少尉に任官され、近衛師団に入隊することと皇族身位令により定められている。
 しかし、それはあくまで身分上の話であり、兵役の義務までは発しないのではないかと、坂本は疑問をぶつける。
「はい。確かに本来ならば坂本さんの指摘するとおりです。それ以前に、母は妾の任官には反対でございました」
「では何故? 陛下のご意向に反してまでウィッチとしてご志願したのです?」
「それはこの難局に際し、ウィッチとしての能力を持っている妾自らが戦わなければと思ったからです。御国の柱として皇都より動けない母に代わり、最前線にてウィッチとしての責務を果たす。
 それが、建国以来の永き時に渡り、この扶桑を怪異より守護して来た一族として。そして、東宮という次期魔女皇の立場にいる自分にとっての宿命でしょうから」
 坂本に自らの決意を語る彰子。気品高い声の奥には、鋼鉄より硬い確かな意志が感じられた。その真摯な眼差しは誰よりも美しく、そして気高かった。
「それは心強い限りです。東宮さまのご意志は、我々下々のウィッチに取り、大変な励ましとなることでしょう」
 次期魔女皇という立場から、実際に戦場に出られることは誰も認めないだろう。
しかし、その強い意思そのものは汲み取ってやりたいと、坂本は彰子に感謝の言葉を向ける。
「ありがとうございます。それと坂本さん。妾を東宮として気遣ってのことでしょうが、そんなに改まる必要はないです。扶桑海軍では、お互いを階級で呼ばない習わしがあると聞きます。妾は陸軍の所属ですが、海軍の作法に従い、妾を呼んではくれませんか?」
「はっはっは! これは一本取られた! ならば今後は彰子と呼ぶことにしよう!!」
 身分的には相手が上だが、軍隊の階級では自分の方が上。階級を振りかざすのは性に合わないので、身分的立場を優先して敬語口調で話してはいた。
 しかし、普段使わない言葉で接するのはどうにもぎこちない。相手から対等の関係を望むのならこちらも付き合いやすいと、坂本は肩の荷が降りた勢いで笑い出すのだった。
「ええ。よしなに」
 呼び捨てされたことを不快に思うことなく、彰子はおしとやかに微笑んだ。
皇族という身分に生まれたため、多くの大人たちが自分に改まった接し方をする。立場上仕方ないとはいえ、彰子は敬意を持たれるのに少なからず苦手意識を持っていた。
 学習院時代はそれでもまだ対等に接し合える学友がいた。
しかし、階級がすべての軍の所属となってからは、親しく付き合える者が激減してしまった。
 自ら進んでウィッチになったとはいえ、他の者と同等に扱われるのが彰子の望みであった。
 幸い、教官である竹井さんは他と平等に扱ってくれている。坂本さんも竹井さんと同じように自分に接してくれるなら嬉しいことこの上ないと、彰子は心から思うのであった。


「ああ……竹井さんが彰子さまだけじゃなく、坂本少佐ともあんなに仲良く……」
 仲睦まじく談笑する三人に、オドオドとした視線を送る怪しい少女の影。腰まで降りた栗色の長髪と、気品溢れる顔立ちを持つ少女の名は、諏訪五色。
 扶桑皇国第十飛行師団飛行第七十戦隊所属のウィッチであり、嘗て竹井の下でウィッチとしての指導を受けていた者だ。
 ある特命を帯びて訓練校を訪れたのはいいが、慕っていた竹井が他のウィッチと親しげに談笑しているのはあまり気分のいいものではないと、五色は気が気でなかった。
「仕方ないだろ、五色ー。竹井さんは誰とでも分け隔てなく接する人だし」
 そんな五色を宥めるように、ポフッと肩に手を乗せる少女。
ショートカットでどこかとぼけた雰囲気の顔立ちである彼女の名は、中島疾風。五色の同期であり、同じく第七十戦隊に所属するウィッチである。
「それは分かってるけど……。せっかく竹井さんがロマーニャから戻って来たって言うのに〜〜!!」
 敬愛して止まない竹井を彰子さまに取られなきゃならないんだと、五色は腑に落ちない様子だった。
 マゼラーナ陥落により、ネウロイに対する扶桑本土の防衛力を高める必要性が生じた。
これにより504へ派遣されていた竹井は、急遽扶桑へと帰国するようにとの伝令を受けたのだった。
 なお、竹井は平時においては教導任務に当たるが、有事の際は扶桑皇国海軍第三〇二航空隊の指揮の元、防空任務に就くよう軍命を受けている。
「とにかく、命令どおり彰子さまのご様子は確かめたんだから、とっとと戻るぞー」
「わっ!? ちょっと待ってよ、疾風! まだ竹井さんとお話を〜〜!!」
 竹井と話したい五色を無理矢理引っ張り、疾風は訓練校を後にするのだった。


 十一時五十二分。訓練校を後にした五色と疾風は、その足で宮中の天守閣に設けられた大本営へと出頭した。
「諏訪五色、並びに中島疾風。ただいま特命を完了してご報告に上がりました!」
 大本営の一室に入ると、五色の挨拶の元、二人は部屋の中心に居座る人物に敬礼した。
「ご苦労だった。彰子は元気にしていたか?」
 黒く美しいショートヘアに、キリッとした瞳と眼鏡が特徴的な大人びた女性が、低く透き通った声で二人に訊ねる。
彼女の名は旭日宮貴子(あさひののみやたかこ)。亡き太正魔女皇の四女で、彰子の叔母に当たる女性である。
 学習院中等科を卒業後、自らの希望で陸軍士官学校、大学校で勉学に励んだ。今現在の階級は少佐であり、大本営参謀として国防の任に就いている。
「はい、元気にしておりました。飛行訓練も順調のようで、見込みありと教官である竹井大尉のお墨付きもあります!」
 五色は自分が見たままのことを、敬愛する竹井の名を強調しつつ、貴子に伝えた。
「そうか。恩に着る。済まないな。私は末っ子なので彰子を実の妹のように可愛がっているのだが、立場上なかなか会いに行けなくてな。君等が訓練校で彰子と面識があると聞き、わざわざ大本営へ出向させた上に様子を見に行かせて」
 貴子は二人の苦労を労いつつ、半ば自分のわがままで特命を与えたことを謝罪した。
「いえいえ。私も久々に彰子さまのお姿を見ることができて良かったです」
 五色は滅相もないという態度で、貴子にお礼の言葉を述べた。
「何て言ってるけど、五色は竹井大尉を彰子さまと坂本少佐に取られて、妬いてるんだぜー」
「なっ!? 疾風!!」
 貴子への弁がまったくの建前だと突っ込まれた五色は、酷く狼狽して疾風の言葉を打ち消そうとする。
「いや、構わんよ。そういった感情を持つということは、彰子を対等な者として見ている証拠だからな。私としては寧ろ喜ぶべきことだ」
「は、はぁ」
 貴子に叱責されるものとばかり思っていた五色は、微笑する貴子の反応に拍子抜けしてしまう。
「しかし、横須賀にはかの坂本少佐がいるのか。この機会に、坂本少佐にも彰子に訓練を施して欲しいものだな」
 竹井大尉の教育方針に不満があるわけではない。
しかし、いかんせん竹井大尉は優し過ぎる面がある。厳しい教育方針だという坂本少佐の指導も受けられれば、バランス的にはちょうど良いと、貴子は思うのだった。
「ああ。そう言えば彰子さまがこんなことを仰ってましたね」
 五色は思い出したように、彰子が坂本に話した決意の言葉を語った。
「そうか……。他に報告事項がなければ下がっていいぞ。今日は本当にご苦労だった」
 貴子は感慨深い顔で五色の報告を聞き終えると、二人に退室するよう促した。
「はい。それでは失礼しました!」
 五色の挨拶と共に二人は敬礼し、部屋から立ち去った。
(建国以来扶桑を怪異より守護して来た一族の宿命か……。確かに宿命かもしれんな。我々皇家の女が老いを知らないほどまでに膨大な魔力を保有しているのも、奴等と切っても切れぬ関係である証左なんだろうな)
 彰子の言葉を脳裏に焼き付けながら、物憂いな表情で貴子は思案する。
貴子の今現在の年齢は二十八。にも関わらず、その外見は大人びているとはいえ十代後半にしか見えず、未だ魔力の衰えさえ見せない。
 宮藤家のように二十を過ぎても魔力が衰えない一族は、全世界にも例がある。
しかし、容姿さえも衰えないで若さを保ち続けられる一族は、皇族をおいて他にはない。
 皇族は通常のウィッチではない。そして我々が何者であるか突き止めるのが、自分が生涯を賭して研究すべきことだと、貴子は改めて思うのだった。


「失礼します」
 そんな時、五色等と入れ替わるように、礼儀正しい男の声が響き渡った。
「ほう。無事に帰って来たか、少佐」
 その男の声を聞くや否や、貴子の顔がほんの少し明るさを取り戻す。
 何故ならば、この男が持って来たであろう物こそが、自分の研究を進展させる鍵だからだ。
「はい。海軍少佐、草加拓海。ただいま、ノイエ・カールスラントより帰還しました」
 白い将校服に身を包んだ男は海軍式の敬礼を行い、黒いアタッシュケースを貴子の前に置いた。
「ご苦労だった、少佐。すまんな。本来ならば命令系統の異なる貴官に、このような任務を与えてしまい」
 貴子は草加を労いつつ、特務を与えたことを陳謝した。
「いえ。これも任務とあれば」
「そうか。あちらの所長は何か言っていたか?」
「はい。大変興味深いサンプルだったと、やや興奮気味に語っていました」
「そうか……」
 恐らく草加が持参した報告書には、自分の期待したどおりの結果が記載されているはず。
 本来ならば喜ぶべきところなのだが、研究が研究だけに、貴子は草加の言葉に、複雑な顔をするのだった。
「ご苦労だった、少佐。下がっていいぞ」
「はい。貴子少佐、一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「何だ? 別に構わんよ」
 草加の思惑は大体読める。海軍の腕利きの情報参謀である彼がどういった切り出し方をして来るのか興味を持ち、貴子は質問を許可するのだった。
「はい。では率直に伺いますが、このケースの中身は、あなた方皇族に関するものですか?」
「ほう。何故そのような疑問を抱いた?」
 一体どこまで本質に迫っているのか。それを見極めるまで質問には答えられない。そう貴子は、草加の腹を探るように訊ね返した。
「はい。それは、私が出向するよう言われたのは、ウィッチの研究を行っている、カイザー・フリードリヒ・ウィッチ研究所。
 その研究所の所長が目を惹く物となれば、少なからず研究を前進させるもの。このケースに入る物となれば、血液サンプル辺りが妥当でしょう。
 そして、陸軍少佐であるあなたが、海軍少佐である私に特命を与えた理由。
 仮に通常のウィッチに関するサンプルならば、同じ陸軍の者に渡せば済む話。
 私に白羽の矢が立ったのは、内大臣である伊藤大将と同郷の者であるから。
 もっとも、今の伊藤大将が私に独断で命令を行うわけもない。となれば、畏れ多くもこの特務は、陛下のご意志が絡んでいるのではないかと」
(鋭いな。さすがは伊藤内大臣が勧めてきた人物だけのことはある)
 冷静な語りで核心を突いてくる草加。断片的な情報のみで、よくそこまで推測できたと、貴子は感心した。
「成程。貴殿の言い分はよく分かった。だが、その質問に答えるのは、国家機密に抵触することだ。それでも、答えを聞きたいか?」
 真実を知れば後戻りはできないという言質で、貴子は問いかける。
「構いませんよ」
 草加は、眉一つ動かさず、肯定の態度を示した。
「真実を知るのが怖くないのか?」
「生きているということは、知ることです。それが今後のネウロイとの戦いを左右するものならば、尚更のことです」
「そうか。いいだろう、少佐の質問に答えよう」
 この男は好奇心旺盛で度量も座っている。草加ならば、自分の研究の強力な支えとなってくれることだろう。
 そう貴子は草加を信頼に値する人物だと評価し、視線を柔らかくしながら口を開き始めるのだった。
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author:衛地朱丸, category:SS, 20:10
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旭日の魔女・上〜皇都防空戦〜 第一章・世界最高権威のウィッチ
JUGEMテーマ:漫画/アニメ
「うー。緊張するなぁ」
 照和十九(一九四四)年十一月三日。亡き明冶魔女皇の生誕日に当たるこの日は、明冶節という祝祭日となっている。
街には国旗が翻り、明冶魔女皇の生誕日を祝っている中。宮藤芳佳は一人宮内省の前に立ち尽くしていた。
 数日前、内大臣府から宮藤家にかかってきた一本の電話。それは、十一月三日に宮内省に出頭して欲しいとの伝達だった。
官公庁が休みの旗日に、何でわざわざ呼び出されたんだろうと怪訝に思いつつ、芳佳は宮内省を訪れたのだった。
「こんにちはー。誰か居ますかー?」
 正面玄関から宮内省内部へと入る芳佳。声を出して呼びかけるが、省内は人の気配がせず、芳佳の声がどこまでも響き渡るだけだった。
「お待ちしておりました、芳佳さん」
 そんな時、奧から年老いた一人の男が姿を現した。
「初めまして。私は内大臣を務めております、伊藤寛(いとうまこと)と申します」
 老人はどこか懐かしむ顔で芳佳を眺めつつ、自らの名を語った。
内大臣伊藤寛。海軍の人間として様々な要職に就いた海軍大将であり、現在は魔女皇の補佐を務める内大臣という要職に就いている。
「はっ、初めまして! 宮藤芳佳です!!」
 貫禄のある伊藤に声をかけられたことにより、芳佳は背筋をピーンと伸ばしながら、ぎこちない面持ちで自己紹介した。
「ほっほっほ。そんなに緊張せんでもええ」
「は、はぁ」
 伊藤に宥められ、芳佳は肩の力を抜きリラックスしようと努めた。
「それにしても、芳佳さんは在りし日の芳子さんによく似ておられる」
「えっ!? おばあちゃんのこと、知ってるんですか?」
 伊藤の口から祖母の名が出た途端、芳佳は興味津々な目を伊藤に向けた。
「ええ。あなたの祖母である芳子さんは、扶桑海海戦で多大なる活躍をしたウィッチですので。当時私は海軍次官でした。功績を称えるため、海戦後海軍省に出頭された時に初めてお会いしたのですが、あまりの美しさに見惚れてしまいました。もし私があと三十歳若かったら、その場で求婚しているところでしたよ」
「へぇ。若い頃のおばあちゃんって、そんなにキレイだったんですねー」
 まるで初恋の人との思い出話をする伊藤に、芳佳は耳を寄せて感心する。
こんな風格がある人がキレイだって言ってるんだもん。おばあちゃん、すっごい美人だったんだろうなぁと、芳佳は在りし日の祖母の姿を頭に思い描く。
「ほっほっほ。どうやら緊張が解れたようですな」
「あっ!」
 伊藤に指摘されて芳佳は気付いた。談笑しているうちに、いつの間にか張り詰めていた気が緩んでいたことに。
「あの、それでわたしを呼んだご用は何なんです? お電話ではとにかく来て欲しいとしか仰ってなかったので」
「はい。実は芳佳さん。あるお方があなたにお会いしたいと申されているのです。その御方はお立場上個人とお会いすることが叶わないご身分ですので。こうして宮内省の職員が休んでいる日に、お忍びでしかお呼びすることができなかったのです」
「個人と会うことができない身分の人って……ひょっとしてその人って、伊藤さんがお仕えしている……」
「はい。魔女皇陛下御自らが、芳佳さんにお会いしたいと申されているのです!」
「えっ!? えええー!?」
 伊藤の言葉を聞き、芳佳は再び緊張の塊となってしまった。それは事前にお名前を出せるわけがないと、芳佳は納得してしまう。恐らく電話で名前を出されていたら、畏れ多くて絶対に出向を断っていただろうから。
 扶桑皇国魔女皇。それは扶桑皇国を治める立憲君主であり、扶桑全ウィッチを統括する立場にもある存在である。
その歴史は扶桑の歴史と共にある。初代魔女皇である神武即位より二千六百四年に渡り、扶桑の守護者として君臨している。
 世界にも例がないほど一族が保たれたのは、一重に魔女皇が権威であり、権力ではなかったことが大きい。
怪異という絶対的な脅威より人々を守護する象徴として、国内の統率を保つのに大いに貢献していた。
 皇族の中にはその権威を利用した男性が法皇と名乗り、自ら権力を振りかざすこともあった。
が、多くの権力者はそれを認めず、内乱を誘発する原因でしかなかった。
 こういった歴史的経緯から、議会制へと移行した折には、皇室典範により男性皇族が法皇になることを禁じられたのだった。


(うーん。早くお家に帰りたい……)
 伊藤に案内され、宮内省との渡り廊下を歩きながら、宮城(きゅうじょう)へと足を踏み入れる芳佳。
嘗て織田幕府の有力大名である徳川家が根拠地としていた宮中。奥ゆかしいながらも荘厳で、芳佳は場違いな気分を抱いた。
「陛下はここにおります」
 伊藤は芳佳を宮城西の丸御殿まで導くと、対面所の前で立ち止まらせた。
「ここに、陛下が……」
 扉を開けた先に、扶桑皇国の一番偉い人がいる。そう思うと、芳佳は魔女皇の威光に気圧されて、身の引き締まる思いだった。
「陛下。宮藤芳佳さんをお連れ致しました」
 伊藤は一礼しながら扉を開け、魔女皇に声をかけた。
「ありがとうございます、伊藤さん。このような日に朕のわがままを聞いてくださり、真に申し訳ありません」
 すると、扉の奧から慎ましやかで豊饒の海のように優しい声が流れ出てきた。
「そんな、滅相もありません。陛下の御為に身を持って応えるのが私の務めですので」
 私如きに労いの言葉をかけるのはあまりにもったいないと、伊藤は恐縮した。
「伊藤さん。すみませんが、宮藤さんと二人きりで話がしたいので、しばし席を外してくれませんか?」
「はい。それでは芳佳さん、後は」
「あっ、はい」
 伊藤は芳佳に一礼すると、魔女皇の言葉に従い踵を返した。
「陛下、入りますよー」
 芳佳は一礼し、中へと入っていった。
「今日は祝祭日の中わざわざ来てくださり、本当にありがとうございます、宮藤さん」
 部屋の真ん中に鎮座し、麗しい声と共に芳佳に感謝の言葉を向ける女性。
腰まで伸びた長く美しい黒髪に、眼鏡をかけた優しく無限の包容力に包まれた尊顔。齢四十三を重ねるというのに、その容姿は十代後半の少女そのものだった。
 彼女こそ扶桑皇国第百二十四代魔女皇、煕子(ひろこ)である。
四十を過ぎても若さを保てるほどの甚大な魔力を保有し、魔法力は世界中のウィッチの中でもトップクラスであろう。
 そして、その権威は初代ローマ皇帝を暗殺の危機から救ったウィッチであるマリア・キリストを崇め奉るローマカトリック教会の精神的指導者、ローマ魔女教皇よりも上位。
 即ち、実質上煕子は世界最高権威のウィッチと言っても過言ではない存在なのである。
(わぁ……。御真影だっけ? よりもキレイ……)
 生まれて初めて魔女皇を間近で見た芳佳は、そのあまりの美貌に言葉を失った。
「さて、早速ですが本題に入らせていただきます。宮藤さん。軍令部の話では、貴女は怪異と接触したばかりではなく、怪異に導かれるように怪異の巣へと進入したと聞きます」
「!?」
 ネウロイの巣の話が出た瞬間、煕子に見惚れていた芳佳の顔は、途端に引きつった。
あの時のネウロイとの接触が自分の大切な上官である坂本を負傷させ、501そのものの存続さえも危うくさせた。
もしも自分がネウロイに近付かなかったらと、芳佳にとっては後悔の念が耐えない、辛い経験だった。
 それ故芳佳は、あの一件はもう誰にも喋らないと心に誓ったのだった。
「単刀直入に聞きます。宮藤さんは怪異の巣で何を見ましたか?」
「えっと、それは……」
 いくら魔女皇陛下でも話したくないと、芳佳は口篭ってしまう。
「お願いします! どうか朕に貴女の体験したことを話してください!!」
 沈黙を続ける芳佳に対し、煕子は真摯な眼差しを向けた。
(えっ!? 何、この感覚は……?)
 煕子の瞳の奥に、ルビーのような真紅に染まった輝きを見た芳佳は、奇妙な感覚を抱いた。
(何だろう? この感じ、前にもどこかで……?)
 それは憧れでも恐怖でもない、不思議な既視感。一体どこで体験したのだろうと、芳佳は記憶を巡る。
(そうだ!? あの時のっ!)
 芳佳はハッとした。この感覚は、まさに今訊ねられている、ネウロイと接触し、そのコアを視認した時と同じだと気付いたのだった。
「分かりました。お話します」
 よく分からないけど話さなくちゃいけない。本能的にそう悟った芳佳は重い口を開き、自分が見て体験した一部始終を話し始めた。
「成程。よく分かりました。宮藤さんに接触を図った怪異は、宮藤さんに危機を伝えようとしていたのですね」
「はい。あのネウロイは、わたしにウォーロックの存在を教えたかったんだと思います。だからネウロイは人類を支配しようだとかそんなんじゃなく、もっと別の目的で動いている気がするんです」
 その目的が何なのかは自分にも分からない。だけど、ネウロイの目的が人類の殲滅にあるのなら、あの時セーフティが解除されていなくて無防備だった自分を、何の躊躇いもなく撃墜していたはずだと。
 もちろん、同じネウロイが大切な坂本さんに重傷を負わせたことも十分承知だ。
でもあれは、今になって思えば自衛的な行動でしかない。もしも他のみんなも敵意を向けずにわたしのように接しようとすれば、違う結末を迎えていたのではないかと、芳佳は思わずにはいられなかった。
「ありがとうございます。貴女の話はとても参考になりました。改めて感謝します」
 芳佳の話を聞き終えると、煕子は再び豊饒の笑みを浮かべ、芳佳に感謝の意を示した。
「後はもう下がって構いませんよ」
 聞きたいことは全て聞き終えたと、煕子は芳佳に退室を促した。
「はい。あのっ、ネウロイとの接触をしたことで、何か罰を受けるとか、そんなことはありませんよね……?」
 退出する直前、芳佳はこの一件で処断されたりしないだろうかと、怪訝な顔で煕子に訊ねた。
「その心配はありません。戦巫女の統帥権は、憲法上朕の元にあります。万が一宮藤さんが訴えられることがあったのなら、朕が全力で貴女を庇護します」
 ウィッチは世界的に理不尽な命令を受けないよう扱われている。扶桑皇国においては、扶桑皇国憲法の条文で「魔女皇ハ戦巫女ヲ統帥ス」と定められており、憲法上ウィッチの安全が保障されている。
 これはウィッチが軍に無理強いをさせられないように抑止する効果と共に、為政者が魔女皇以外のウィッチを取り立て、クーデターを起こさないようにする牽制の意味も込められている。
 なお、陸海軍の指揮権は内閣総理大臣にあり、魔女皇の統帥権は、ウィッチの庇護を求めること以上の効力は発揮できないようになっている。
「それを聞いて安心しました。それではこれで失礼します」
 芳佳はホッと胸を撫で下ろしつつ煕子に深々とお辞儀をし、退出しようとする。
「あっ、そうだ!」
 しかし、ふと何かを思い起こし、立ち止った。
「あのっ! 陛下ご自身はどう思われているんですか? ネウロイが人類の敵かどうか」
 去り際に芳佳は質問した。自分を呼んでまでネウロイの巣で見たことを訊ねたんだ。何かしら思うところがあるだろうと。
「ええ。朕も宮藤さんと同じ考えです。怪異は人類と敵対したいわけではなく、他の目的を持って行動しているのだと思います」
 煕子は芳佳の不安を取り除くように、満面の笑みを浮かべた。
「良かったー。この話を501のみんなにしてもなかなか受け入れてくれなくて。陛下にお聞かせしたことで、何だか胸につっかかえていたものがキレイサッパリになくなりました! わたしの方こそ今日はお話を聞いて頂いて、本当にどうもありがとうございました!!」
 誰にも理解されないだろうから、ずっと黙っていようと心に決めていた。
でも、扶桑で一番偉いウィッチが自分の話を面と向き合って聞いてくれた。
 自分と同じ考えの人が他にもいる! 共通の価値観を持つ者を得られたことで、芳佳は心の蟠りが払拭され、晴れ晴れとした気分で宮城を後にするのだった。
(そう――怪異はただの敵ではない。それは我々皇族の存在が証明しているようなものなのですから……)
 退室する芳佳を見つめる煕子の眼差しは一転し、どこか物悲しそうな表情だった。
author:衛地朱丸, category:SS, 20:07
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旭日の魔女・上〜皇都防空戦〜 序章・マゼラーナ陥落
JUGEMテーマ:漫画/アニメ
 「アイ・シャル・リターン……!」
 リベリオン海軍第七艦隊旗艦アイオワの艦橋から、マゼラーナ上空を覆う禍々しいネウロイの巣を眺める一人の男。
男の名は、ダニエル・マッカーサー。リベリオン軍南西太平洋方面総司令官を務める、陸軍大将である。
 マッカーサーは口に加えたコーンパイプを噛み締めながら、リベリオン語で「私は戻って来る」と、無念の思いを込めて呟いた。
 一九四四年十月二十日。この日南西太平洋に浮かぶマゼラーナ諸島上空に、突如として巨大なネウロイの巣が出現した。
 第七艦隊並びに第508統合戦闘航空団は共同戦線を張り、二十三日から二十五日にかけて総力戦を展開した。
 だが、ネウロイの攻撃は想像以上に熾烈だった。
 特に八隻の戦艦を吸収した巨大ネウロイには、多くのウィッチの命が奪い去られ、数十の艦船が海の藻屑と化した。
そして、十月二十五日。マゼラーナは奮戦空しく、ネウロイによって陥落させられた。
 これにより、今まで戦場には程遠かった扶桑皇国は、ネウロイの魔手に脅かされることになるのだった。
author:衛地朱丸, category:SS, 20:03
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細かすぎて伝わらないアイマスオンリー新刊情報
  ご無沙汰しております。9月5日に行われる「細かすぎて伝わらないアイマスオンリー」に当選致しました! 当日のスペース、新刊情報は下記のようになります。

スペース:架空03

新刊

偶像再誕


ジャンル:アイドルマスター

発行日:平成22年9月5日

表紙:QooYaさん(おーげしょ

仕様:A5・ 100P(オンデマンド)

頒布価格:600 円

本文サンプル

序章・啓示

第一章・チェンジ! アイドル!!


 また、以下の既刊を持ち込みます。

君と歩む雪の道〜ルーキーズ〜 A5・ 112P(オンデマンド)・18禁 600 円

君と歩む雪の道外伝〜春秋百花〜 A5・68P(オンデマンド) 400円

雪の少女 A5・24P(コピー本) 100円

竹馬の戦友 B6・68P(オフセット) 500円

秘史叢書〜トラ・トラ・トラ〜 B6・76P(オフセット)・18禁 600 円

秘史叢書〜BLITZKRIEG B6・116P(オフセット)・18禁 700 円

大落し編 B6・76P(オフセット) 600円

ミ リアムの愛がアップ! A5・48P(オンデマンド)・R−15 300円
author:衛地朱丸, category:イベント情報, 18:58
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